住み継ぐことの喜びが味わえるリフォーム
アーキテクツ・スタジオ・ジャパンの会員を結ぶコミュニケーションマガジンとして発刊されている「A-style monthly」の2011年8月号に「佐紀町の家」が掲載されました。
テーマは「住み継がれる家の価値」をデザインするです。
ご興味のある方は、記事をこちらからダウンロードして下さい。
「_asm056.pdf」をダウンロード
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住宅の照明計画って大事ですね。電気代にも結構影響しますし、夜間過ごす雰囲気づくりにも大きく関わってきます。今や照明器具の種類やデザイン、灯りの質など様々な選択が出来、住まいを演出することが可能です。
私の場合、住宅に限ってはなるべく「集まる灯り」をしつらえるように心がけています。
写真はミニクリプトン球という電球で100ワットのペンダントライトを食卓の中心に据えています。この照明器具は手作りのガラスでできていて、その素材感には独特の揺らぎが表現され、器具そのものに温かみと味わいがあります。そんな照明器具をこの家での中心である食卓に据えて、クリプトンランプの芯のある灯りで照らしまています。そうする事で、夜には灯りの芯が部屋の中心となり、必要な所は明るく、そうでない所はぼんやりと空間全体を優しく照らしてくれます。
キャンプファイヤーや焚き木、蝋燭の灯りなど芯のある灯りには人を引き付ける、あるいは集める力があると思います。家の一か所に中心的灯りを据えて、何となく家族が集まってくる。そんな気持ちのいいシーンをつくっていきたいと思っています。
ちなみに、ここでは19畳ほどの空間を夜間のほとんどこの照明一つで過す事ができます。キッチンなどは部分照明で適時必要な時に点灯できるようにしています。ですから驚くほど電気代がかかりません!いい雰囲気をつくりながら省エネに貢献できる。なんだか得した気分になりますね!
「小上がり」ってシステムありますよね。店舗では比較的多く取り入れられるシステムですが、住宅で体験された事がある方は少ないのではないでしょうか?
あえて「システム」なんて使っていますが、私としてはただ単に「和風」を演出する手法的なものでなく、生活や住まい方を豊かにする「システム」として立派な機能を持っていると思っています。
ではシステムとは?「有機体のように多くの部分が集まって一つの全体を構成し、その各部分が密接に結びついて互いに影響を及ぼし合っているさま。」だそうです。
さて、この小上がり。何をそんなに気に入っているかというと、その意味の通り、それがある事でそれぞれの空間が有機的につながって、互いに影響を及ぼし、なんとも機能的で“きもちいい”空間にしてくれるところが気に入っていますし、お勧めしたいのです。
まず、その特徴としては「小上がり」だけに小さく上がっています。つまり床にレベル差がある。その事で間仕切りがなくとも緩やかに空間を仕切ってくれます。そしてその床のレベル差が故に、天井高に変化が出ます。しかもその変化は、住まい手が動く事によってはじめて変化するのです。
写真は「小上がり和室」つまり畳を敷いた居室なのですが、レベル差を生じる事で床の仕上げを自然に畳にする事が可能ですし、その事によって低くなった天井高が、本来の座って使う和室に心地よい天井高として空間を提供してくれます。ついでに床が上がった分だけその下は収納として活用できます。限られた平面の中に収納を確保しようと思うと、どうしても居室の面積をいじめる事になります。しかし「小上がり」にすることで立体的に空間を使う事ができます。「足の振る舞い」も「土足→上履き→裸足」と変化がつき、改めて日本の靴脱ぎ文化を楽しむことができます。
上の写真のように、「小上がり」をリビングとのつながりで配置する事によって、その段差に腰を掛けるという選択をするという事で、大きく鎮座しがちなソファーをあきらめることができました。
客人が来た時には、なぜかまず「小上がり」に腰を掛けます。日頃も食事以外はダイニングチェアに座らず、ついつい「小上がり」に腰掛けます。「小上がり」を舞台に見立てた、子供の踊りをダイ二ングから眺めたり、リビングの家族の姿を「小上がり」から映画のスクリーンの中に見立ててみたりと、いろんな楽しいシーンが展開します。小さな子どもの成長にも寄与していると思います。小あがりから落ちて危険を察知する能力がつきますし、ハイハイからタッチする時の手がかりにもなります。早いうちから段差を上がり降りしたり、飛んだりする事で運動神経も良くなるような気がします。
機能的にはダイニングと小上がり和室で15人ぐらいの食事スペースを取ることができますので、いろんな宴にも対応可能ですし、建具を絞めて客人の寝室にしたりすることも可能です。
使う素材も必ずしもたたみでなければいけないというわけではありません。下の床材をタイルや石、上の素材を絨毯。とか、上から下まで絨毯を貼りまわすとか、上が板間で下が土間とか、いろいろ対応する事が可能です。
まだまだ文章で説明のつかない事が満載で、すっきりお伝えできませんが、とにかく“きもちいい”わけです。
そんなこんなで消化不良で「小上がりのススメ」終わりますが、百聞は一見にしかず。真剣に家づくりをお考えの方はご案内しますので、こちらからお好きな方法でご連絡ください。
鏡という素材は建築素材の中でかなり特殊だと私は思います。よく商店建築で使われ、住宅で「素材」として使用する事はあまり聞いたことがありませんよね。どうしても鏡の映り込みという特殊な性能が「商業ベース」としてイメージさせてしまうからでしょうか。
私はこの「鏡」という素材を有効に住環境に使っていきたいと思っています。鏡の映り込みによって「狭い家を広く見せる」という単純な使い方でなく、その鏡がある事によって本来の「映す」という機能を使いながら「こっそりと気持ちよさを演出する」みたいな使い方を目指しています。
たとえば下の写真、小あがり和室と外部そサッシの間に「縁側のような場所」をつくって、突き当りに「鏡」をしつらえています。
こうする事で視覚的には「縁側のような場所」が延長され、広く見えると同時に、本体“きもちいい”場所である「縁側」をさりげなく演出しています。外部サッシ側の「端っこ」にしつらえる事で日常生活する自分たちの姿はあまり映り込むことがなく、外部も連続して広がっていくので開口部も同時に広いものとなり、まさにそこに縁側があるかのような演出をしてくれます。
副産物としては「光」が反射し採光も思った以上に確保できるという事です。写真は西側の壁面に鏡を設置しているのですが、「朝日」をうけて本来朝は光が届かないはずの部屋の東側も明るくする事に貢献しています。
機能的には「鏡」ですから、本来の「姿見」などに大いに活用できます。しかも本来は姿見などは大きな家具になってしまいますからその置き場所、つまり一定のスペースをとられてしまいます。置き家具の姿見の後ろなんか活用しづらいスペースですし、ホコリもたまり易く、まさにデッドスペース。鏡をしつらえる事によってそんなメリットもあります。ここの場合は鏡の裏は収納です。
文章ではなかなか説明しづらいのですが、人の行為も変わります。娘が鏡に自分の姿を映して踊りの練習をしたり、服を着てポーズをとったり、ここでは伝えきれないいろんな「サプライズ」があってとっても楽しいですよ。
住宅の設計はこのように設計時に予測できない“たのしい行為”が起こるような“きもちのいい場所”をつくっていく事が大切で、それが我家の愛着につながるのではないかと思っています。
しかしながら「ん~文章と写真じゃようわからん」という方は「百聞は一見にしかず」という事でお気軽に「みせて?」と問い合わせてみてください。真剣に家づくりをお考えの方であれば、出来る限りご案内差し上げたいと思っています。
最近は壁に選択できる素材がたくさんありますね。巷の住宅でよく目にするのはクロスでしょうか。クロスの中にはいろいろな模様やパターン、別の素材に似せたものなど、様々な選択ができますし、家族みんなで「どれにしようか?あれにしようか?」と悩んで決めるのも家づくりの一つの楽しみだと思います。
でも、私は白い壁をお勧めします。ざっくばらんに言うと、クロスでもペンキでも漆喰でも構いません。「白い壁」をお勧めするのです。当然、クロス・ペンキ・漆喰といった順に素材の持つ奥行きが醸し出され、その空間に時間と共に独特の魅力を与えるのは言うまでもありませんが。
ではなぜ「白」なのか?それは「白」という色が、その名の通り何にも染まっていない「純(ピュア)」な色だからです。私は家というものは「おおらか」でその家族をゆったりと許容できることが必要と考えています。「なんにでも染まるけどなんににも染まらない」。白ってそういう色だと私は思います。たとえば自分の娘や息子が使っていた部屋を、彼らの旅立ちと共に自分が使う事になった時、その白い壁に描かれた彼らの思い出は決して汚れには見えないはずです、白い壁に刻まれた思い出だからこそ「そのままにしておこう」なんて思うはずです。これが子供思考の柄モノであれば流石に「張替えようかなぁ~」なんて思ってしまうかもしれません。
要するに白い壁はその家のキャンバスなのです。老若男女問わず身近な色に包まれ時を刻むときその「白」という色に知らず知らずに思い出と幸せをもらっているのです。良く考えてみれば周りにはやはり「白い壁」は多いはずです。皆さんもこんな風に「白い壁」を考えて実現してみてはどうですか?できれば経過する時間により耐え、美しくなる奥行きのある素材で出来れば言う事はないのですが。
杉の無垢板は温かみがあって気持いいと聞くことがあると思います。その分柔らかくて傷が付きやすく取り扱いが難しいとも聞きますね。そんな杉のいい所悪い所をまず自分が体験しておかなければと思い、実際に使ってみました、私の家の床板は吉野杉の無垢板です。
写真は採用して三年経過した姿です。表面には自ら蜜蠟ワックスを塗っています。どうですか?大いに傷がついていますね、とくに出来たてからしばらくの間がすごく気になりました。本を落としても、ちょっとした角のあるものを落としてもすぐに傷が付きます。ちゃんとマメに蜜蠟ワックスを塗らないと醤油なんかこぼしたらシミになってしまいます。そんな杉板、使って分かったことは年月とともにそんな事があまり気にならなくなるという事です。それは傷や汚れ自体が広く万遍無くつく事で分かりにくくなるという事やそのこと自体に慣れてしまうという事もあるのでしょうが、それ以上の気持ちよさに引かれてしまうからだと思いました。
夏適度に冷たくて冬適度に暖かい、大げさでなく床暖なんて必要ないと思います。合板のフローリングでは味わえない感覚です。はだしで歩きたくなる柔らかさと馴染みの良さ、数字や理屈で言えないような気持ちよさがあります。
その証拠に、なぜだか我が子はこの杉床にいつもゴロゴロしてほっぺをつけたり手でナデナデしたりしています。遊びまわるのもいつも裸足です。邪念の無い子供の行動にその証拠を見ることができます。大人もスリッパをはかずに裸足になることが多いです。お客さんもスリッパを脱いで靴下のままって事もあります。
杉のような柔らかい木は結局「ひと」に近い材料なのだろうなと思います。繊細でやわらかく気づ付きやすいけど温かみがあり優しい。だからこそ付き合えば付き合うほど味わい深く好きになる。でもしっかりと手がかかる。
人が家の中で一番触れているのが「床」という部分。そこにきもちいい自分の好きな素材をもってきて付き合っていく「気持ちよさ」を皆さんも体験してみてはいかがですか?!
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